甲斐国 かい


 甲斐は古くから柯彼・歌斐・加比・介賓などの文字をあたえられ、日本武尊が東国より入国して酒折宮の地にしばしやすんだと伝えられ、高い山に囲まれた文字どおり甲斐(峡)である。文武天皇(697〜706)のころ山梨・八代・巨麻・都留の4郡が設置された。天平年間(749〜57)に国司赴任の記録がある。東海道と東山道との間に介在して、東海道の一国に属するが、人文的には東山道に近い。周辺は山地に囲まれ平地は乏しく、わずかに甲府盆地があるのみである。古代に織物や牧馬がさかんに行われ、黒駒の牧は名高く、『延喜式』所載の官牧として穂坂・真衣野・柏前がある。大菩薩峠・笹子峠を境として国中と郡内の二地域に別れている。国中の中心は甲府盆地で、釜無・笛吹川の流域に甲府・韮崎・塩山・山梨がある。郡内は桂川を中心に、その流域に富士吉田・都留・大月が開けている。これらに荘園をでき、これを地盤として甲斐源氏が発展した。長元年間(1028〜36)に源頼信が甲斐守となり、清和源氏の勢力が扶植され、孫新羅三郎義光が甲斐守に任じられ甲斐源氏の基を開いた。義光の子義清が逸見冠者と称して土着し、その子清光の長子信義が武田を称し、次子以下は加賀美・安田・平井・河田氏を称した。源頼朝が平氏を滅ぼして鎌倉幕府を開く時に当たり、それぞれ軍功をたてた。武田信義は甲斐国守護となり、甲斐源氏の惣領として一門を支配し、甲斐守護は代々武田氏が継ぐところとなった。武田氏は室町時代に血脈を伝えたが、南北内乱以来、惣領をめぐって一族に内訌がつづき、応仁の乱前後より豪族地侍の下克上によって勢力が衰えた。永正4年(1507)家督をついだ武田信虎は、一族、重臣の反抗に悩まされ、隣国の北条・今川・上杉・平賀・村上の諸氏の侵攻に苦しみながらも勢力を恢復し、甲斐の領国的統一を強行した。その統治があまりにも苛烈であったため、重臣板垣・小山田・甘利氏の反感を買い、彼らに擁立された嗣子信玄(晴信)によって追放され、駿河に退隠した。信玄は父の遺業を継承し府中の躑躅ヶ崎城を拠点として、その経略を開始した。元亀年間(1570〜72)に至って甲斐および駿河一円、信濃の大半、遠江4郡、三河2郡、上野7郡、美濃・飛騨・越中の一部を占め、ほぼ9ヶ国、総計約130万石の広大な版図を領し武田氏黄金時代をつくった。信玄は民政に留意し、金山をしばめとする産業開発、「信玄堤」の名を残す治水事業に力を注ぎ富国強兵を図った。信玄の死後は武田氏の勢力は衰え、天正10年(1582)3月、武田勝頼は織田信長に攻められ天目山に滅び、甲斐は信長の部将河尻鎮吉の支配下に入った。しかし、信長が本能寺で倒れると、国人は反乱を起こし河尻氏を滅ぼし、こりに乗じて国内に侵入した徳川家康と北条氏政の闘争の結果家康の勝利に帰した。家康は新たに新城(甲府)を築き、平岩親吉を城代としたが、家康の関東八州移封後、豊臣秀勝・加藤光泰を経て、文禄3年(1594)浅野長政が入り、甲府城を竣工して城下町を整備し国中の検地を行った。江戸幕府を開いてから甲斐は江戸に近いので、徳川義直・忠長・綱重ら親藩の大名を封じ、甲斐宰相と称された綱豊は、宝永6年(1709)6代将軍となった。これにかわって柳沢吉保゛15万石で甲府に入部し、その子吉里が享保9年(1724)大和郡山に移封は、幕末まで幕府直轄領となり、甲府城に勤番支配が置かれた。甲斐は山国で交通不便であったが、江戸幕府により五街道の一つ甲州街道が設置されたり、東海道と結ぶ富士川の水運も啓発されて産業の発展に貢献するところが大きかった。享保年間(1716〜35)柳沢氏の検地では30万余石となり、葡萄・製紙など国産品が発展しもとくに郡内地方には絹織物業が盛んになった。徳川慶喜が大政を奉還したあと、明治元年(1868)5月東下した東山道鎮撫総督岩倉具定によって甲府が開城された。このとき甲州奪還に向かった近藤勇らはかし柏尾峠に征討軍を迎えて敗走し、甲斐全土は明治新政府の支配するところとなった。同年8月、甲斐府が置かれ新知事として滋野井公寿が赴任し、9月4日副総督兼撫総使柳原前光によって府中・市川・石和の3県が置かれ、城代が廃しされたことに始まる。翌年7月甲斐府を改めて甲府県とした。  山梨県 明治4年(1871)廃藩置県で山梨県と改められた。東南は神奈川県、東北は東京都および埼玉県、南は静岡県、県境には富士山がそびえ、西北は長野県と境している。山麓扇状地に元禄年間(1688〜1704)にブドウの栽培が行われ、芭蕉にもブドウの句がある。300余年前に果実栽培で生計をたてた例は日本では非常に珍しい。それほど物産が少なかったので、よそへ出て稼ぎに迫られたともいえる。



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